秘密結社「暦(カレンダー)」




■組織の沿革

「理想社会」の創造を謳い、「世界革命」によって地上に完全なる理想社会を建設する事を目的としている秘密結社。そのための具体的な手段として、欠損と矛盾に満ちた不完全の象徴である全世界の現行政府を転覆、破壊せんが為にテロ活動を繰り返している。
一般には「エルサレム核攻撃未遂事件」「米大統領白昼撲殺事件」の二大テロ事件の首謀グループとして有名。

その思想にはユング的な自己実現理論の他、シュタイナーの人智学、各種オカルト思想の影響が色濃いが、中核はユートピア論的な無政府主義であるらしく、「各個人が善良なる意思を持って各個人の完全なる主人たる」を理想とし、最終的には極端な主従関係の否定、万人の自由平等などの徹底を主張していると言う。


■組織の構成

まず7人の団員が集まり「週」を形成、「日曜日」が「週」のチーフとなる。
さらに4つの「週」が集まって「月」を形成、「第一日曜」が「月」の代表として「十二人委員会」を構成、「一月」から「十二月」までのコード(暗号名)を持つ。
十二人委員会の議長は「一月」であるが、中央で絶対権力を振るう首領のような人物は存在せず、組織全体の活動は委員会の合議により決定される。
ここまでが「幹部」と呼ばれる上級メンバーの構成であり、各人がそれぞれ日付のコードを持っている(『一月』配下の第三火曜なら『一月十七日』など)。

以上が理論上の「暦(カレンダー)」の組織構成だが、各構成員はそれぞれが下位の団員を抱えており、それぞれが独立した秘密結社を率いている場合も多く、末端まで含めると組織全体の構成は複雑を極める。これは無論当局の追及を逃れる為の工夫である。


■十二人委員会

一月:“白髪の”ブランキ

ユダヤ系フランス人。表の顔は大学教授であり、教育学と心理学が専門。ユング心理学から出発して東洋のオカルト思想やシュタイナーの教育論などを研究していた。「暦(カレンダー)」の創始メンバーの一人にして、思想面の指導者であるが、組織の構成上首領という立場ではない。
非戦闘員。


二月:“妖術師”アルシャンク
出身、国籍等は不明。極めて虚無的、冷笑的な性格のニヒリストであり、「暦(カレンダー)」の理想社会思想をすら信じていないような節があるが、それゆえにというべきか、破壊活動においては最も精力的という、純粋テロリストとでもいうべき人物。
様々な暗黒の魔術に通じ、おぞましき異界のものどもを召還し使役する為「妖術師」。
ブランキのゼミ生だったことがあるが、素性や言動に謎が多く、「暦(カレンダー)」創設当初からの最古参メンバーの一人でありながら組織の中でも油断のならない、危険な人物と見なされている。
「翼の拳編」などのラストボスキャラクター。

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三月:“ドクター”ブル

イギリス人。「理想社会は理想的人間の集合でしか成立し得ない」という命題の元、「四月」のダッシュウッド卿の資金提供で生物として理想的な人間の研究をしている。健康的な中肉中背の体格に角刈り頭、真ん丸の黒眼鏡ににこやかな笑みという容姿。


四月:“サー”アーサー・ダッシュウッド

イギリス人。世界有数の富豪、ダッシュウッド財団の現頭首。「暦(カレンダー)」の筆頭資金提供者であり、F−1WTGPの主要スポンサーでもある。世間には慈善事業家、愛妻家として有名。
息子の一人が自分の裏の顔を知ってか知らずか、反テロリスト組織の運営などを始めた事を気に病んでいる。

五月:現在空席

・13(サーティーン)
元五月幹部、“狂犬”グラッフィアカーネ。彼は「暦(カレンダー)」の中でもトップクラスの部下数を誇っていたが、ギャング上がりで粗暴な性格が災いし「理想社会創造」という大儀を理解できていないものとして粛清された。しかし少数の部下と共に生き残り、「13」と名を変え「暦(カレンダー)」に復讐する機会を窺がっている。粛清の際に自分の片腕を奪い部下の殆どを虐殺した張本人であるアルシャンクに対し、特に深い恨みを抱いているらしい。

・アモン・リー
次期「五月」候補。香港マフィアのボスの一人だが、もともと裏社会の組織に入り込んではそれを巧みに利用し、最終的にはのっとってしまうという事を得意とする人物。現在の香港マフィアにおける地位も、そのようにして手に入れたものである。そしてその香港マフィアの組織を手土産に今度は「暦(カレンダー)」に取り入り、乗っ取ろうと考えている。


六月:“誇り高き”ヴァイスハウプト

ドイツ人。彼の部下たちは純然たるテロリストグループである。
それほど智謀に長けた人物ではないが、一番熱心な理想社会建設論者であり、アルシャンクを最も怪しんであからさまに非難する男であるが、同時に最もアルシャンクとつるんでいることの多い男でもある。アルシャンクの方では彼を気に入っているらしく、しばしばファーストネームの「アダム」で呼ぶ。
サイキック能力を持ち、念力の「腕」を用いる「6ハンドボクシング」で闘う。


七月:“炎を運ぶ”レシェフ

アラブ系アメリカ人。「二月」「六月」と並ぶテロ担当。「一月」のブランキとは盟友の間柄らしい。
かつてブランキ、アルシャンクと共同で隕石落しによるエルサレム消滅作戦を目論んだことがある(エルサレム核攻撃未遂事件)。
炎を自在に創り出し操るパイロキネシス能力を持ち、個人戦闘力でも「暦(カレンダー)」内で五指に入る実力の持ち主。


八月:“アダルト・ティンカーベル”鈴鳴鵺

脱走した“疾風怒濤の”葉月に代わり、つい最近八月になった女性。
「翼の拳編」でアルシャンクのサポートを担当している中ボスキャラクター。
実はその正体は異世界「ネバーランド」の妖精「ティンカーベル」らしいのだが、何故に「暦(カレンダー)」に参加しアルシャンクに協力しているのかは謎。
表の顔はガイア共和国の大企業の人事部長。


・麻生夏香(“疾風怒濤の”葉月)
前「八月」。元「暦(カレンダー)」の戦闘員格闘技術教官で、通称「組織最強の戦闘員」だった。しかし理想の為にテロ活動で犠牲者を出す組織のやり方に疑問が蓄積しついに作戦中に組織に反抗、レシェフ、ヴァイスハウプト、アルシャンクの3人を向こうに回し大乱闘の末逃亡。現在は私立美浜教育学園陰陽寺高等学校の生徒として生活しつつ「暦(カレンダー)」を潰す機会を窺がっている。
「九月」の長月と同じ人工人間シリーズの一つらしいが、記録が無く詳細は不明。


九月:“殺神機人”長月真紀

三月と前九月の共同研究によって創り出された人工人間(ホムンクルス)No.27。
天才児として設計されていたが、その能力を嫉視し怖れた前九月は彼女を抹殺しようとした為、これを返り討ちにし代わって九月の地位についた。このとき、傷ついた肉体をサイボーグ化した為、外見的には当時の年齢から変化していない。
兵器開発担当ということになっているが、人殺しの道具にあまり関心が無いらしく、究極目指して何時までも完成しない巨大スーパーロボなど、浪漫に走ったような発明が多いマッドサイエンティスト。
表の顔は遊園地経営者、テロの犠牲になった子供たちに無料開放などを行っている。
脱走した葉月(麻生夏香)と親しかったが、自ら名乗り出て葉月制裁の刺客となる。


十月:“無貌の”神無月

常に銀の仮面で素顔を隠している謎の人物。優れた擬態能力を持つ「暦(カレンダー)」の忍者。どのような者であろうと、姿形から声色、挙句は技までも完璧以上にコピーすることができるという。この能力の為もあり、その正体は「暦(カレンダー)」の幹部にとってすら謎で、素性は愚か性別すら不明。
実はその正体は国際警察機構日本支部長、村雨蓮也。そして、村雨が神無月であることも、国際警察機構の誰も知らない秘密である。彼は国際警察機構と「暦(カレンダー)」の両方の内情に通じる立場であるが、その双方にその情報を敢えて流さず、そのくせスパイとして相手を探る任務に就いている。


十一月:現在空席

募集中(何)。


十二月:“凍てつく冬の”ディー

とても大人しい印象の、黒髪、褐色の肌の美少年。恐らくネイティヴアメリカンと思われる。触れたものから急速に熱を奪い凍結させるクリオキネシス能力を持つ暗殺者。「7月」のレシェフが拾ってきた孤児で、養父であるレシェフに対しては深い信頼と自分を暗殺者にしたことへの反発という相反する感情を持っている。
基本的に善良で心優しい性格の為、「正義」のためとは言え人殺しをする自分に嫌悪というより憎悪に近い感情を抱いている。
前「八月」の葉月(夏香)に憧れを抱いていたらしく、その脱走は彼に大きなショックを与えたらしい。