Fists With Wings
ワールドガイド


■基本世界設定

Fists With Wings(FWW)の舞台となっているのは我々が住むのと同じ、「現代の地球」です。年代的には2010年代頃、現代というよりはやや近未来といった方が適当かもしれません。

一部の例外を除き、国境や国名、勢力関係なども現代と同じです。アメリカは良くも悪くも世界最大の影響力を持った国であり、ロシアやEUがそれに続きます。日本はやや傾きながらも経済大国、中国もまだ“醒めたる龍”とはなっていません。世界の国々は相変わらず強調しつつも互いにいがみ合っては足並みは揃わず、統一的な流れは遠い夢です。むしろ、地域化、民族主義の流れが強まり、世界は少数分立の傾向を強めています。

モラルや法、常識観念についても、多少ルーズですが現実世界と同じです。
例えば、真剣や武器の類を抜き身で持ち歩いたりすれば警察に通報されますし、罪になります。

但し、FWWの世界は現実の世界と全く同じようではありません。大きく違っているところもあります。一言で言えば、現実世界と比べFWWの世界はよりヒロイックであり、ファンタジックな世界です。おおっぴらにではありませんが、魔法や超能力が存在し、現実世界では起こりえないような不思議に満ち、少年少女が夢と希望を武器に大人顔負けの活躍をします。少年少女だけではありません。勿論、大人たちも現実世界以上に夢や野心を強く持ち、より熱く、濃く生きています。もっと簡単に言えば、少年漫画的な世界と言えばいいでしょうか。全てがより情熱的で激しい世界、それがFWWの世界です。


■基本コンセプト:夢と希望と少年ヒーロー

先にも触れましたが、『夢と希望』と言う概念がFWWの世界観の基盤、コンセプトに強く存在しています。つまり、人間にとってその二つが欠くべからざる大事なものであり、生きていくうえでかけがえのない輩となるべきものであると言う価値観、夢は信じて追い続けるべきもの、信じて追い続けていれば必ず報われるはずのもの、よしんばそれが叶わないと知っても、追い続けることそのものにその価値も意味もあるのだというメッセージです。

それを象徴するものとして、少年ヒーローキャラクターがあります。
主人公『月影なのは』を初めとして、日向義仲、室伏崇、神風姉妹など、FWWは年齢的には少年少女と言うべき年齢のキャラクターが大人に混じって互角に、時には互角以上に戦う世界です。彼らは所詮子供ですから、知力体力技術、全てにおいて大人には大きく劣っています。しかし、彼らは心に『夢』や『希望』を持つことにより、巨大な敵を打ち破り、世界を相手に戦うことができるのです。勿論、当たり前のことですが、敗北や挫折もあるでしょう。むしろ、普通に考えたら勝てないのが当たり前ですが、挫折を語ることがFWWの本意ではありません。その挫折にめげずに、夢を追い続けることの素晴らしさをイメージさせることが望ましいのです。


■ストリートファイト

FWWの世界では、現実世界以上に格闘技人気が高く、ボクシングやプロレスなどの試合は勿論、ストリートファイトのようなものまでが一種のスポーツのように(勿論アングラな、ですが)行われています。
その為、FWWの世界においては『格闘技』全般が現実世界のそれよりもメジャーな存在です。
TVなどでも格闘技番組は現実世界よりは人気がありますし、『格闘家』と呼ばれる人種の知名度も人気も高いのです。
路上のアウトローたちの間では『ストリートファイト』と称する野試合が数多く行われています。
プレイヤーキャラクターたちもまた『ストリートファイター』であり、彼らが踏み込んでいく闘いの舞台が、ここ『ストリートファイト』と呼ばれる路上のリングなのです。


・F−1WTGP(Fighters-1 World Tour Grand Prix)

FWW世界における格闘技熱の象徴、集大成とも言うべき世界大会がこのF−1WTGPです。
流派、格闘スタイル不問、ウェイトによる階級は愚か男女の区別もなく、リングを用いず世界の路上を舞台に繰り広げられる一大異種格闘技イベントです。
元々は日米合資で二カ国でだけ行われていた大会だったのですが、今回イギリスの『ダッシュウッド財団』がスポンサーとなり、初めての世界大会となりました。因みに、一応テレビ番組の企画です。

FWWでは重要な背景設定の一つで、キャラクターの参戦動機としても使いやすいものですが、キャラクターが必ずしもこの大会に参加する意図を持っていなくてもかまいません。

ルールはかつて香港の黒社会で行われていたスタイルをモデルとしており、リングは路上、年齢制限無し、体重による階級制無し、男女混合と言うかなり特殊なもの。
原則として素手で闘うのが決まりですが、限定的ながら武器の使用も認められており、刃のない冷兵器(火薬や動力を使用しないもの)、刃のあるものでも身長の半分を超えない小型のものなら認められます。

一試合は大体4〜5人の参加者をひとまとめにして行われ、参加者はマッチメイクが決まってから早朝5:00から夜の12:00までを戦闘時間とし、この間は指定された地域内で自由行動、そして他の参加者と遭遇した時点で戦闘開始となります。ともかくどちらかが買い物中だろうが食事中だろうが入浴中だろうが、出会ってしまえば戦闘開始、加えてどちらかが一方的に相手を発見した場合に不意打ちをかけることも許されているため、参加者は戦闘時間中は息つく間がありません。
また、生き残り重視で逃げ回る参加者を出さないために、各参加者には試合ノルマが与えられており、3日間に一人以上の敵を倒さなければ失格となってしまいます。

ただし、試合期間中の戦闘地域には「レフェリー」と呼ばれる審判兼立会人が常時待機しており、彼らの立会いの下で行われた決着のみが有効となります。「レフェリー」は普段は戦闘地域内の一般人に成りすましていて全くわかりませんが、参加者が戦い始めると必ずどこからともなく表れ試合開始宣言、立会人となります。神出鬼没というか、冷静に考えると結構不気味です。

試合を繰り返して一定期間が過ぎるか、参加者が一定数以下にまで絞られた時点で
参加者を決勝開催地に召集し決勝戦となります。

また、F−1GPWTは一大ギャンブルイベントでもあります。
最終優勝者予想は勿論、各試合ごとの勝敗も賭けの対象とされています。
ただでさえ参加者が多い上に乱入による参加がありうるため予想は困難を極めますが、同時に八百長も困難を極めていると言われています。
賭けによる収益は重大な大会運営資金です。

今回第一回の決勝会場国は新興国の「ガイア共和国」となっています。


■異能力者

格闘ゲームには頻繁に登場する「炎使い」や「気」の使い手などのいわゆる超能力についてです。
「FWW」の世界においても、現実世界と違い超能力は明確に実在しています。超能力者の数もあからさまに多数です。しかしだからと言って世間一般に超能力や魔術の存在が普通に認知されていると言うわけではありません。「FWW」世界においても一般の人々にとっては超能力の類は実在性の怪しい胡散臭いものです。

とは言え、それはあくまでも一般の人間にとってはで、『暦(カレンダー)』のように多くの能力者を抱えた犯罪結社や、『超異能者』こと鱶神源三の故郷のような超能力者の村などもあります。
軍や警察でもこっそり能力者の部隊を編成したりしているはずです。
一般に、普通の生活をしている能力者は、それが強力なものであればあるほどその能力を隠します。強力な超能力は武器と見なされやすく、悪用しようとするものに狙われる危険があるばかりか、周囲の普通の人間から怖れられ、疎遠にされたり、最悪迫害される可能性も高いからです。
犯罪者の能力者は、仲間内でなら能力を敢えて隠さないかもしれませんが、世間一般に超能力の存在自体は隠そうとする場合が多いようです。その存在が一般的になると、超能力対策も取りやすくなり、特殊な能力を持っていることのアドバンテージが減ると考えるからのようです。

但し、一般的な「超能力」の相対的威力に関しては、感覚としては「超能力」はそれが無い人間に対しての圧倒的なアドヴァンテージというより、「武術の心得」や「凶器の使用」と同程度の軽度の有利と考えてください。「超能力」といえども人力には違いないので、あくまでも「生身の人間」の振るう力の可能なことの域を出ないもの、ということです。

一般に「空手家やボクサーの拳は凶器扱いになる」と言いますが、超能力を持つ、或いは振るうことの感覚もそれと同様です。

以下、FWWに存在する異能力者をカテゴリー分けして解説してみます。


・超能力(ESP/PK)

念動力や予知、千里眼から発火能力(パイロキネシス)や電気人間などなど、通常の人間の持たない、或いは通常の人力の常識を超えた超常的な能力全般を指す言葉で、そういった能力を持ったものを超能力者とか単に能力者とか呼びます。大抵は何か一種類の能力のみを持っていて、複数の特殊能力を同時に持っているものは少ないのですが、能力の威力や精度には個人差が大きいようです。
能力の内容自体も様々に個性的ですが、基本的にこの種の能力では自然の物理現象を起こす以上のことはできないのが普通です。特に創造行為が苦手で、何もないところから物を作り出したり、生命そのものを生じたり、蘇らせたりといったことはこの種の能力の領分を超えています。


・魔術・オカルト

魔法、魔術、その他細かく様々な分類、呼称がありますが、通常の科学とは異なった知識・理論体系に基づき、普通の科学の概念を超越した現象を引き起こす技術・学術・知識・伝承を総称して魔術と呼びます。魔法やオカルトもFWWにおいては現実に存在しますが、魔術は超能力以上に胡散臭く現実味の無いものと思われています。魔術は超能力と比べると引き起こせる現象に制限が無く、しかも「技術」なので理論上機会さえあれば超能力と違い誰にでも身につけることはできますが、熟練した魔術師となる為には個人的な資質の大きさも物を言います。また、そもそも魔術を学ぶ機会自体が、殆ど皆無と言っていいほど存在していません。
魔術を使うものはほぼ例外なく世の中から隔絶した生活をしているか、その知識を隠しています。


・ロボット・サイボーグ

FWWの時代設定は201X年頃としていますが、実際の技術レベルは現在よりも大幅に進歩しているらしく、この種のものも存在しています。しかも巨大ロボやら人間と殆ど変らないようなメイドロボやらオートマータやら、かなりSFレベルの高い技術力を想像させる代物があります。但し、世の中に出回っているというよりは、軍事用や秘密結社、マッドサイエンティストなどがこっそりと秘匿している技術、或いは秘密裏に研究している試作品という感じで、どちらかというと実用的なもの、というものではないようです。


■秘密結社

秘密結社というのは定義が難しいですが、一般的には何らかの秘密を共有して通常社会から自分たちを特別に分類しようと試みる人々の集団、と言うことになります。「秘密」というのも様々なので一概には言えませんが、組織自体の存在や所在は必ずしも秘密とはされておらず、非常にオープンな秘密結社というものも世間には存在します。
ともあれ、そうした定義についてはともかく、FWW世界にはこうした秘密結社というものが数多く存在しています。特に、ストーリー上では悪役としての犯罪的秘密結社が数多く登場します。

以下はFWW世界における代表的な秘密結社です。


・「暦(カレンダー:CALENDAR)」

「理想社会の創造」を謳い、世界革命と称して現状の全ての政府を否定し転覆せんとする、大時代的な無政府主義的テロリストグループ。名はその組織構成に由来しているらしい。12人の大幹部からなる「十二人委員会」を中心としているが、単独の首領というようなものが存在するわけではなく、全体の構造は多数のテログループを含む秘密結社の集合体、ネットワークのようなものである。

「翼の拳編」に於いて、「二月」の“妖術師”アルシャンクがF−1WTGPを利用して「地球制止作戦」を画策した。実はF−1の主要スポンサーであるダッシュウッド卿も「暦(カレンダー)」の一員である。

>詳細


・「涅槃(ニルヴァーナ:NIRVIRNA)」

こちらは「暦(カレンダー)」よりも過激で、人類全部を地球、ひいては宇宙を穢す罪悪と見なし全人類の絶滅を目的としている秘密結社。『女神』と呼ばれる存在を指導者、或いは絶対者として崇拝する、一種のニューエイジ系カルト団体であるが、この種のものとしてはかなり巨大な規模と歴史を有する組織である。

指導者であり信仰、崇拝の対象である『女神』の下、少数の大幹部を中心にピラミッド型の組織構成を持っているといわれるが、逮捕される構成員が少なく(元々活動自体は小規模であったのに加え、追い詰められると自決する構成員が多い)、実態についてはあまり資料がない。ただ、具体的なテロ活動を主に担当するグループとして『終焉騎士団』という下部組織もしくは部隊が存在するらしいことがわかっている。


・香港マフィア

中国南部、香港を根城に暗躍する犯罪的秘密結社。「香港マフィア」と一言で言っているが、実際には大小さまざまのグループの総称である。基本的に営利目的の犯罪者の集団であり、金になることなら殺し、密輸、麻薬・覚醒剤、人身売買などあらゆる悪事を実行する。

実力者アモン・リーの一家が仕切っていた地下格闘技大会において、組織子飼いのチャンプ炎虎が月影なのはに敗れるという失態を演じた為、組織は炎虎をF‐1に参加させて期限付きでなのはと再戦し報復するように命令する。